【年末】当ブログ的2021年放映権10大ニュース×2

今年最後の更新です。昨年はコロナ禍でスポーツが止まる時期もありました。今年もまだ苦しめられていますが、それでも350本余りの記事をお届けすることができました。改めて感謝申し上げます。

今年執筆した記事から海外編・国内編それぞれ10本をピックアップしましたのでお楽しみください。来年は速報が入らなければ1/5から更新予定です。

【海外⑩】カーリング世界最終予選、スポンサー問題で混乱 (12月)


まだ記憶に新しいところですが、オランダで開催されたこの大会にアダルトグッズ通販会社がスポンサーとなったことで混乱が。NHKや米NBCなどが直前になって放送を見送る事態となりました。

その後急遽ロゴを差し替えて放送は再開されましたが、コミュニケーションに問題があったことは否めません。国によってスポンサーの基準が異なるのは当然のことで、事前確認を怠れば同様の事態はまた発生します。

【国内⑩】高野連、夏の甲子園無観客でクラウドファンディング実施も大幅未達 (8月)


感染者の拡大により無観客での開催となった夏の甲子園は、入場料収入が激減したことで大幅な赤字を計上することとなり、1億円を目標に立ち上げられたクラウドファンディングも1,300万円程度で終了しました。

同時期に同じく無観客で開催された東京五輪とどうしても比較されることになります。商業主義が進んだ五輪とビジネスを嫌う高野連ではどちらがマシなのか。また、社説で五輪中止を唱えた主催の朝日新聞社のスタンスも問われることになりました。

【海外⑨】DAZN、欧州女子CLのグローバル放映権を獲得。YouTubeでも配信 (7月)


DAZNが現在打ち出している戦略としては、グローバルコンテンツの獲得と女性の支援があげられますが、その両方を満たすコンテンツが女子CLと言えます。4年契約で、前半2年はYouTubeでの無料配信も行うという大きなスケールです。

日本でもWEリーグと8年契約を結びましたが、女性の支援というコンセプトは今後投資を呼び込むためにも大事なメッセージとなっていきます。

【国内⑨】ジロ・デ・イタリアの放映権をディスカバリーが獲得。JSPORTSでの放送復活 (2月)


サイクルロードレースの放映権では、DAZN撤退の後にディスカバリーが運営するGCN+が昨年から参入。DAZNの権利の多くも実はディスカバリーから購入していたわけですが、本家が自ら乗り込んできたわけです。

ディスカバリーはGCN+独占ではなく、J SPORTSにもライセンスを出す方針にしたようで、ジロ放送が復活しました。テレビとネット配信の棲み分けを考えたのか、それとも他に思惑があるのか。いずれにせよファンにとってはいい方向に進んだのでは。

【海外⑧】マッチルーム・ボクシング、英Skyとの契約終了でDAZNによるグローバル配信へ (4月)


こちらもDAZNによるグローバル戦略のひとつですが、DAZNの母国であるイギリスでもマッチルームの権利を獲得したという話です。マッチルームは日本選手との契約も進めており、コロナが落ち着けば日本での興行も視野に入ります。

また、後に触れますがイギリスではBT Sportの買収について交渉中。グローバル企業であるとともに、イギリス企業であることをアピールしています。

【国内⑧】ABEMA、MLBの放映権獲得 (6月)


MLBの試合は昨年からSPOZONEが配信していましたが、ABEMAにライセンスを提供して大谷選手の試合を中心に一部無料での配信を実施しました。

SPOZONEの会員数がどれほどかは分からないのですが、もともと単体で稼ぐというよりライセンスの販売先を探していたのかもしれません。今後NHKの放送が縮小していくようであれば、さらに高値で売れるチャンスも出てくるのでは。

【海外⑦】プレミアリーグ、次期放映権の入札を行わず、既存の権利者と契約延長 (5月)


2022-23シーズンから新たなサイクルに入るプレミアの放映権ですが、入札が行われず現在の権利者であるSky・BT・Amazonの3社と引き続き契約しました。3年で総額48億ポンドとされています。

コロナ禍で放映権バブルに限界が見える中、値下がりを避けて確実に放映権料を得る戦略と言えます。また、米NBCなどイギリス以外の放送局では6年契約を結ぶところも出ています。

入札に参加する機会を絶たれたDAZNはBTを買収するという思い切った手段を模索することになりますが、それはまた後ほど。

【国内⑦】ルヴァン杯で配信障害が相次ぐ (9月)

これは残念な話題でした。ルヴァン杯のライブ配信でスカパーオンデマンドが障害を起こし、FODにユーザーを誘導する措置をとったところ、今度はFODにも障害発生。ついにYouTubeでの無料配信になってしまうという玉突き現象に。これは来シーズンに向けて改善してもらわないと困るところです。

【海外⑥】リーグ・アン、国内放映権をAmazonが獲得 (6月)


昨シーズンから80%の試合の放映権を獲得したMediaproが、コロナ禍による経営不振と契約数の伸び悩みにより途中で権利を投げ出してしまったことが発端ですが、再入札の結果Amazonが落札しました。

しかしMediaproが落札した価格よりもだいぶ値下がりしたため、リーグもダメージを受けましたし、残り20%の権利を持つCanal+もお怒りです。Amazonにしてみれば思わぬ掘り出し物だったのかも…

【国内⑥】NHKの「次期3カ年経営計画」にスポーツ放映権料の削減が盛り込まれる (1月)


何かといろいろ言われるNHKですが、衛星波を1チャンネル減らし、受信料を値下げする合理化を進めると発表しています。その一環として放映権料にもメスが入れられようとしています。

秋にはNFLの中継がなくなりましたが、今後も終了もしくは試合数が削られるスポーツが出てくるものと思われます。逆の視点からはローコストなコンテンツの発掘にも期待したいところですが…

【海外⑤】英BT Sportが事業売却へ。DAZN有力も交渉長引く (5月)


通信会社の一事業であるBT Sportも経営の合理化を迫られています。プレミアや欧州CLなど負担の重いコンテンツを抱え、事業の分離をはかろうとしています。

それを好機ととらえているのがイギリスに本拠を置くDAZNなのですが、交渉は難航しているようで越年となりました。ディスカバリーの名前も新たに浮上し、年明けにもまたひと波乱あるかもしれません。

【国内⑤】欧州CL/ELの放映権をWOWOWが獲得 (1月)

契約を1年残した状態で電撃的に撤退したDAZN。コロナ禍でのダメージが大きくコンテンツの整理を迫られての決断でしたが、ファンに与えたダメージもまた大きいものでした。

グループリーグはどこも放映権がなく、一部の試合がUEFA TVで配信されましたが、決勝トーナメントからはWOWOWが権利を獲得。その勢い?で、今シーズンからの新たなサイクルでも権利を得ています。

【海外④】ニューカッスル買収など、スポーツに着々と食い込むサウジマネー (10月)


サウジとカタールの国交が回復され、海賊放送・BeoutQの問題も終息に向かっているようですが、サウジはこれを機にスポーツへの投資を強めています。カタールの肩を持ち、サウジマネーを拒否していたスポーツも拒否し続ける理由が薄れています。

プレミアリーグ・ニューカッスルの買収は象徴的なニュースですが、ゴルフやモータースポーツ、競馬など範囲は広がっています。

もちろんサウジの抱える人権問題を忘れてはいけません。スポーツと人権については、北京五輪とともに来年の大事なトピックとなります。

【国内④】JLPGA、全主催者と放映権の帰属で合意と発表も… (10月)


ツアー全試合の放映権を一括管理する方針を掲げてきたJLPGAですが、これまでツアーを育ててきたテレビ局との対立が報じられており、なかなか進みませんでした。しかし、ここにきて来年の大会主催者すべてと合意したと発表。正直数試合はカレンダーから落ちても仕方ないと思っていただけに意外な決着でした。

しかし平和はなかなか訪れません。今度はテレビ局ではなくIT企業のGMOとの対立が明らかとなり、GMOは主催を取り止めることに。全主催者が納得する決定など元からあり得ないのかもしれません。

【海外③】NFL、2023年からの放映権料が年間1兆円を突破 (3月)


金額の規模から言えばこれが世界一。2023シーズンからの放映権料は、10年間で総額1,100億ドルに達しています。

まだ次の権利者が決まっていない「サンデーチケット」の候補には、Amazonやディズニーなど巨大企業の名前が続々と。アメリカ国外での人気は高くないローカルな競技ですが、国内だけでこれだけの規模に達するのは実に驚異的なコンテンツです。

【国内③】村田vs.ゴロフキン戦、Amazonで配信と発表も延期に (11月)


日本でもAmazonがスポーツコンテンツに参入!ということで大きな話題になりました。残念ながらオミクロン株による入国制限のため試合は延期となってしまいましたが、また春頃に観られることを願います。

日本のAmazonプライムの価格は他国と比べて低く抑えられているため、今後もスポーツを増やすならばどんなコンテンツを狙っていくのか。値上げはあまりしてほしくないかな…と。

【海外②】DAZN、イタリア国内でセリエAの放映権を獲得 (3月)


日本ではJリーグを全試合配信。ドイツではブンデスリーガを毎節3試合配信しているDAZNですが、セリエAについても全試合(毎節7試合独占)の放映権を獲得。DAZNにとっては過去最高スケールの契約と言えます。

初期には配信障害もありましたが、イタリアでメインのプラットフォームとして認められることは今後のビジネス展開にもおおいに影響します。ラ・リーガについても来シーズンから毎節5試合の権利を獲得しました。先のBT買収もそうですが、来年も巨大な取引のニュースで賑わせそうです。

【国内②】AFC主管試合の日本向け放映権がFMAから電通に移管。その後DAZN&テレ朝へ (4月)


日本でもDAZNの大型契約がありました。W杯最終予選を含むAFC主管試合の放映権は、香港を拠点とするFMAが落札。要求金額が高く日本のテレビ局が手を出せないと報じられていました。

結局FMAは取引を成立させることができず、AFCが日本向けの権利を買い戻して電通に移管させる事態に。その後DAZNが購入し、ホームゲームの権利をテレビ朝日に販売することで決着したわけです。

日本代表戦が地上波から消えるというインパクトは確かに大きかったのですが、それだけ予選突破は当たり前だというムードになっていたことも事実。お尻に火がついて改めてその尊さを教えられたことになります。

【海外①】欧州スーパーリーグ、ついに正式発表もあっさり崩壊 (4月)


構想だけは以前から存在していましたが、本当に発表してしまうとは。これもコロナ禍で世界中のスポーツが傷ついたことにより、もともとあった歪みが顕在化してしまったということでしょうか。しかし、ファンから支持されないとわかると逃げ足も速かった。

背景にはクラブとUEFAによる対立構造があるわけですが、今度はW杯の隔年化案によってFIFAとUEFAの対立構造も顕になっています。来年もまたいろいろ起こりそうです。

【国内①】批判渦巻くも、東京五輪ほぼ無観客で開催 (7~8月)


国内の1位はもちろん東京五輪なんですが、あんまり国内という感じがしません。テレビに映る風景は確かに日本なのですが、どこか別の世界で開催されたような気もします。

それでも成立するのが現代の五輪ビジネスということです。日本はなんとか開催にこぎつけ、世界の期待に応えたとも言えますが、マネーだけでなく文化的にも失ったものは大きいです。スポーツを文化として定着させるにはまだまだ課題が多すぎます。
以上となりました。コロナ禍が完全に終息するのはまだ先になりそうで、感染拡大におびえながらも日常を取り戻す努力は続けられます。スポーツを気がねなく楽しめる日常が早く来ることを願いつつ、来年も引き続きよろしくお願いします。

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